神戸牛や但馬牛といった並み居るブランド牛がひしめく兵庫県で、遜色のない品質を誇ると言われるのが地域ブランド牛の「丹波篠山牛」。まだまだ希少価値の高いブランド牛で、年間240頭ほどしか出荷されていません。
そんな「丹波篠山牛」を全国に広めるために奮闘する生産者にフォーカスし、そのこだわりや基本情報などをご紹介していきます。
丹波篠山牛とは?
兵庫県が誇るブランド牛「但馬牛」をもと牛として、丹波地方で育てられ一定基準を満たした和牛を「丹波篠山牛」と言います。
JA丹波ささやまが研究を重ね開発したオリジナル飼料「ささやま21」を与え、高度な肥育技術を取り入れ大事に育てられた黒毛和牛で、あっさりとした脂肪が特徴の、上質な肉質を誇る地域ブランド牛です。
丹波篠山牛の肉質
丹波篠山牛は極上の肉質と呼ばれており、キメが細かく光沢があり、赤身がよく締まっており霜の降り具合が抜群なのが特徴です。またメス牛は、オレイン酸を多く含んでいることで、肉質はもちろん、脂肪の質と香りの高さが最もすぐれています。
丹波篠山牛の味
丹波篠山牛は見た目だけでなく、細胞のきめ細かさや脂の質にこだわって育てられています。熱を加えると「サシ」とよばれる霜降りの脂の部分が溶け、とろけるほどやわらかい食感が生まれます。もちろん部位すべて絶品のおいしさで、色や香りもよく、たたきやおにぎりの素材として、生でも食べられるほどです。脂はさらっとしていながら、独特のコクと香ばしさもある丹波篠山牛。噛むほどに旨味が口の中に溢れ出します。
丹波篠山牛の生産者をご紹介
丹波篠山の地で、ご当地ブランド牛の生産に尽力する生産者を紹介します。試行錯誤を重ね研究をし、牧場ならではのこだわりを持った生産者ばかりです
丹波田中畜産
種付けから出荷まで一貫生産体制を行っている「丹波田中畜産」は、今まで多くの優秀な丹波篠山牛を育て上げ、品評会でもグランプリを獲得するなど、篠山牛生産では大変有名な牧場です。直営店も大好評で、上質な篠山牛が食べれると評判です。
環境
豊かな大地に恵まれた丹波の大自然の中で、気候にも恵まれた牛の生産にはうってつけの環境です。牛舎は木造で、木の香りが漂い、牛のストレスを軽減する効果もあります。熟練したスタッフが、細心の心配りと高度な技術を駆使して一頭一頭大切に育てています。
飼料
初めの1ヵ月は親の乳で育て、それ以降は、麦やとうもろこし、ふすまや大豆などを配合した独自の飼料を与え育てていきます。また飲み水は丹波の滑らかでミネラル豊富な地下水を与え、十分な栄養も飲み水からも与えています。
基本情報
生産牧場名 | 丹波田中畜産 |
住所 | 〒669-2205 兵庫県丹波篠山市網掛403−2 |
電話番号 | 079-594-2919 |
東門畜産
静かで空気が澄んだ丹波盆地にある「東門畜産」。直営店も経営し、生産から出荷まで一貫生産を行っています。一度は離れていた生産業を15年前から再開し、今では全国でも入賞する優秀な和牛を育てており、今後も期待される丹波篠山牛の生産牧場です。
環境
約100頭ほどが入る牛舎は、常に清潔に保たれ、牛へのストレスを軽減する環境を整えています。牛へのブラッシングや、寝床となる床には乾燥した藁を敷き、牛にとって居心地の良い空間を作り上げています。
飼料
JA丹波ささやまが開発した、オリジナル飼料である「ささやま21」をベースに、牛の生育に合わせて青草や干し草、大麦などを混ぜて、独自の飼料を作り出し牛に与えています。また飲み水も井戸水を使用し、新鮮な水を常に与えています。
基本情報
生産牧場名 | 東門畜産 |
住所 | 〒669-2334 兵庫県丹波篠山市西新町182 |
電話番号 | 079-552-2914 |
小島牧場
丹波篠山農業のリーダーと言われ、これまで多くの賞を受賞する素晴らしい和牛を育ててきたのが「小島牧場」です。和牛飼育歴60年を数え、牛以外にも丹波名物の丹波黒枝豆を育てる農家としても有名です。
環境
のどかな自然の中に、丹波黒枝豆畑に隣接してあります。少ない頭数のため一頭一頭愛情を込めて育てることができ、牛の変化にもすぐ気づける環境です。澄んだ空気を牛舎に取り入れるため、脛に扇風機を回し空気の循環を行い、牛のストレスを軽減しています。
飼料
JA丹波篠山が開発したオリジナルの飼料を使用し、水は近くを流れる清流から牛舎にひき牛に与えています。
基本情報
生産牧場名 | 小島牧場 |
住所 | 兵庫県丹波篠山市八上 |
電話番号 | 不明 |
木村牧場
丹波の田園を見下ろす小高い丘にある「木村牧場」。約120頭の篠山牛と、市場の高台にある牛舎で、母牛と仔牛を合わせて22頭を飼育しており、市内でも珍しい繁殖から取り組む大型生産牧場です。
環境
牛舎は風通しの良い造りになっており、この地域の涼しい気候もあり過ごしやすい室温を保っています。また牛はキレイ好きなので、寝床も乾燥した木の屑や藁を敷き、清潔な状態に保っています。
飼料
丹波篠山牛の条件と言われる「ささやま21」を与えていますが、このオリジナル飼料を10年かけて作り上げたのがこの木村牧場です。今ではこの飼料は、JA丹波ささやまが指定する、篠山地域共通の飼料となっています。
飲み水も近くを流れる清流から牛舎に引いており、いつでもミネラル豊富な水を飲むことができます。
基本情報
生産牧場名 | 木村牧場 |
住所 | 〒669-2318 兵庫県丹波篠山市大熊 |
電話番号 | 不明 |
古家後農場
丹波の山の麓にある「古家後農場」。牛の繁殖から肥育・生産まで行う一貫生産牧場です。丸々と肉づいた品質の良い篠山牛を生産すると、大変評判の生産者さんです。
環境
大自然を利用した飼育方法をとっており、なるべくストレスのかからないよう放牛を行い、良質な野草を食べさせています。また、時間があれば毛並みを整えリラックスさせることで快眠効果を促しています。
飼料
JA丹波ささやま指定のささやま21に、きな粉や大豆などをブレンドし、独自の飼料を与えています。また近くの清流から新鮮な水を運び、飲み水からも栄養を与えています。
基本情報
生産牧場名 | 古家後農場 |
住所 | 〒669-2154 兵庫県丹波篠山市今田町市原28 |
電話番号 | 079-597-2243 |
西村牧場
丹波篠山牛の生産牧場として第一人者と言えるのが「西村牧場」です。レストランやホテルにも篠山牛を卸し、一流シェフからも絶賛されています。繁殖から飼育、販売までを一貫して行い、一頭一頭心を込めて、きめ細かなケアができる少頭飼いをすることで、高品質の篠山牛を作り上げています。
環境
緑豊かな自然とキレイな空気に囲まれた、昔懐かしい里山が広がる牧場で、牛たちはのびのびと暮らしています。牛舎は解放感を意識し、広々としたお部屋で過ごす牛たちは、ストレスを感じることなく生活できる環境にしています。
また牛舎内の天井も太陽光が差し込む造りになっており、牛の体の殺菌と牛舎を乾燥させる事で清潔に保つ効果もあります。
飼料
地域で指定しているささやま21に、自家栽培の牧草や稲わらを加え、さらに丹波篠山の名産である黒豆の葉を中心に与えています。また飲み水も、近くを流れる仁根らる豊富な清流「篠山川」の伏流水を牛舎にひき、いつでも新鮮な水が飲めるようなシステムを整えています。
基本情報
生産牧場名 | 西村牧場 |
住所 | 〒669-2446 兵庫県丹波篠山市八上上132 |
電話番号 | 079-556-2829 |
清水畜産
丹波篠山牛生産者の新鋭と言えば「清水畜産」です。約40頭ほどの和牛を飼育しており、篠山牛の魅力を全国に発信しています。また繁殖にも力を入れており、今後が期待される生産牧場です。
環境
丹波の山あいにあり、自然に囲まれた牧場内でのびのびと育てられています。頭数が少ないので一頭一頭の健康状態を見ることができ、もし体調が悪そうな牛がいたら、ビタミン剤を投与するなど、体調管理に余念がありません。
飼料
JA丹波ささやま指定のささやま21と、地元の農家からいただいた稲わらや米かすなどをブレンドして飼料にしています。また飲み水は、地元を流れるミネラル豊富な篠山川の伏流水を与えています。
基本情報
生産牧場名 | 清水畜産 |
住所 | 〒669-2446 兵庫県丹波篠山市 |
電話番号 | 不明 |
溝口牧場
生産から出荷まで一貫生産を行っており、丹波篠山牛を味わえる料理店も経営しているのが「溝口牧場」です。優秀な篠山牛を育てると評判の牧場で、全国で行われる品評会でも、多くの賞を獲得しています。
環境
静かに保たれた牛舎は、騒音などを一切遮断し、牛にストレスをためないような環境を作っています。また、キレイに保たれた牛舎は、太陽光も差し込み、リラックスできる空間を作り上げています。
飼料
JA丹波ささやま指定のささやま21を中心に、独自にブレンドした飼料を与えています。また飲み水も水道水は与えず、ミネラル豊富な新鮮な井戸水を与えています。
基本情報
生産牧場名 | 溝口牧場 |
住所 | 〒669-2203 兵庫県篠山市吹新13-1 |
電話番号 | 079-594-0031 |
森田牧場
篠山ののどかな山あいにある「森田牧場」。愛情注いで育てられた丹波篠山牛は、地元では評判で、丹波の特産品の味を楽しめる「ささやま味祭り」にも、自社牧場で飼育した篠山牛を提供しています。
環境
緑に囲まれた広い牧場内では、仔牛用と成牛用にマスが分けられ、1マスに5頭が入り育てられています。ストレスを軽減するために、天井には扇風機が設置され部屋の温度を一定に保たれています。また、牛舎外で一定の運動をさせることで、リラックスさせることも怠りません。
飼料
特別な配合飼料と良質な乾草を与えています。また飲み水は近くを流れるミネラル豊富な美嚢川の伏流水を使用し、新鮮な水を与えています。
基本情報
生産牧場名 | 森田牧場 |
住所 | 〒669-2408 兵庫県篠山市春日江113-2. |
電話番号 | 079-556-2084. |
丹波農商
26歳と若い牧場主が経営する「丹波農商」は、丹波市内で30年ぶりに新規参入した生産牧場です。丹波の食材を日本のみならず、世界にも広めたいと志高くビジョンを描く、篠山牛生産の若きホープです。
環境
気温の変化や牛舎環境のストレスにより病気になりやすいため、一頭一頭をしっかり観察し早期発見、早期治療を心がけています。
飼料
指定飼料と、自社で生産している米のかすなども利用し独自の飼料を与えています。飲み水も近くを流れる清流「篠山川」の伏流水を牧場に引いているので、いつでも新鮮な飲み水を与えることができます。
基本情報
生産牧場名 | 丹波農商 |
住所 | 〒669-4122 兵庫県丹波市春日町小夛利872 |
電話番号 | 0795-78-9689 |
まとめ
丹波篠山牛の生産者をご紹介してきました。生産者それぞれに、いろんなこだわりがありますね。神戸牛や但馬牛に引けを取らない美味しさと言われている丹波篠山牛。後継者不足と言われる和牛の生産牧場ですが、丹波篠山には将来を担う、若い逸材が誕生しています。
全国的な知名度はまだ低い丹波篠山牛ですが、この若き力が、その知名度を一気に全国区にする日も近いかもしれません。