兵庫県淡路島から誕生した「淡路ビーフ」。その肉質は神戸牛にも引けを取らないと言われています。そこには和牛の名産地と言われる、淡路の生産者の努力がありました。
今回は、そんな「淡路ビーフ」の生産者にフォーカスし、そのこだわりや基本情報などをご紹介していきます。
淡路ビーフとは?
淡路で生まれ育った但馬牛で、淡路ビーフブランド化推進協議会が定める厳しい基準をクリアしたものを「但馬ビーフ」と言います。淡路には同じくブランド牛である淡路牛がいますが、淡路牛は淡路ビーフよりも基準が低いため、同じものだと思われる方もいますが、異なるものになります。
淡路島で誕生した最高級品質を誇る「淡路ビーフ」は、年間200頭程度しか出荷されておらず、現在は希少価値の高いブランド牛とされています。他の和牛よりも脂が低温で溶けるため、しつこくないのが特徴です。
淡路ビーフの肉質
淡路ビーフの赤身は、受け継がれる血統と恵まれた環境、厳格に管理された飼育から、筋繊維が細かく柔らかく、脂の重さを感じることなく肉本来の甘みと香り、野性味が含まれる赤身となります。 イノシン酸が他県のブランド牛より多く含まれており、このイノシン酸はカツオ節などに多く含まれる成分で、噛めば噛むほどに味わいが広がります。
淡路ビーフの味
脂の美味しさ、赤身のうま味が際立つブランド牛です。脂肪が細かく粘りがあり甘みがあり、融点が低くなるために低温で溶けるため、口当たりと口溶けが良くなります。上質な霜降りが適度に含まれており、しつこくありません。また赤身は、イノシン酸が多く含んでいるため、肉本来の味を楽しむことができます。
淡路ビーフの生産者をご紹介
淡路・洲本地方を中心に淡路ビーフは盛んに生産されています。淡路ビーフの生産に情熱をささげる生産者をご紹介していきます。
中西牧場
多くの優秀な神戸ビーフを輩出し、共励会でもグランプリを獲得するなど淡路ビーフの生産牧場の第一人者と言われている「中西牧場」。メディアでも紹介され、その知名度は抜群です。
環境
出来るだけ牛にストレスを与えないよう、牛舎は静かな森の中にあります。音楽を聞かせながらリラックスさせることも忘れません。また牛舎内も清潔に保たれており、湿気を作らず常に乾燥させるようにしています。
飼料
生後9〜13ヵ月の牛には乳酸発酵させたコーンサイレージを与え、14カ月目以降は米国産のサイレージと成長過程によって飼料を使い分けています。また、飼料の塊の中からその色の出具合をチェックして、含まれる栄養成分を計算しながら配合量を変えており、ビタミン量が十分でないと思われる飼料は、あらかじめ日干しをしてから与えるようにしているそうです。また、スーダングラスなどの牧草はすべて低農薬のものを選び、農薬の使用に懸念のある飼料の使用は一切禁止しています。
基本情報
生産牧場名 | 中西牧場 |
住所 | 〒656-0472 兵庫県南あわじ市市善光寺26−1 |
電話番号 | 0799-42-5013 |
武久牧場
洲本市五色町の自然に囲まれた場所にあるのが「武久牧場」です。淡路ビーフを提供するレストランの一流シェフも絶賛する神戸ビーフを生産しています。武久牧場では、他の生産牧場とは異なりメス牛のみを取り扱っています。
環境
牛にストレスをかけないように、出来るだけ大きな物音はたてずリラックスして牛が過ごせるようにしています。また牛舎内は清潔に保たれており、特に牛の寝床は、乾燥した木の屑や藁を頻繁に敷き替えています。
飼料
ビタミン源でもある稲わらを中心に、トウモロコシや大豆などをブレンドした独自の飼料を与えています。また飲み水も、近くを流れる洲本川の伏流水を使用し、ミネラル豊富な飲み水を確保しています。
基本情報
生産牧場名 | 武久牧場 |
住所 | 〒656-1336 兵庫県洲本市五色町上堺393−1 |
電話番号 | 0799-35-0108 |
村上牧場
これまで優秀な淡路ビーフを作り上げてきた「村上牧場」。淡路市内だけでなく、神戸のレストランでも村上牧場の淡路ビーフは使用されており、一流シェフからも好評です。
環境
まわりを緑に囲まれた自然豊かな土地に牧場があります。約70頭ほどの淡路ビーフを飼育しており、一頭一頭愛情を込めた飼育を行っています。ストレスをかけないように毛並みの手入れや爪の手入れも頻繁に行い、リラックスした状態で過ごさせるのが特徴です。
飼料
新鮮な稲わらを中心に、トウモロコシや米かすを混ぜたオリジナルの資料を与えています。また飲み水も、井戸水を使用し、新鮮な水を与えることができる環境です。
基本情報
生産牧場名 | 村上牧場 |
住所 | 兵庫県淡路市 |
電話番号 | 不明 |
神野牧場
繁殖から飼育まで一貫して行い、品評会にて最優秀賞を何度も獲得している「神野牧場」です。淡路だけではなく、神戸の高級飲食店にも淡路ビーフを提供しています。また、地域の子供たちに体験学習を経験させるなど、地元の振興事業にも積極的に携わっています。
環境
淡路市の小高い丘の牧場で、淡路牛を放牧しのびのびと育てています。牛舎は清潔に保ち牛にストレスがかからないようにしています。また放牛することで、良質な野草を食べ、適度な運動をすることで身体をリフレッシュさせるようにします。
飼料
地元の農家から提供される新鮮な稲わらを中心に、独自にブレンドしたものを与えています。また飲み水も、ミネラルが豊富に含んでいる井戸水をくみ上げて飲ませています。
基本情報
生産牧場名 | 神野牧場 |
住所 | 兵庫県淡路市 |
電話番号 | 不明 |
鳶谷牧場
和牛の生産に携わって60年。淡路の畜産農家のレジェンドと言われているのが「鳶谷牧場」です。これまで数々の優秀な淡路ビーフを生産し、多くのお店に鳶谷牧場の淡路ビーフを提供してきました。
また、地域の振興や若手農家育成に力も注いでいるベテラン生産牧場です。
環境
緑に包まれた牧場で、街の喧騒が全くない中でストレスなく牛たちは育っています。また牛舎は風通しが良く、太陽光も差し込む造りとなっているため、牛たちもリラックスして生活することができます。
飼料
稲わらを中心に、米かすや大豆のかすなど独自にブレンドした飼料を与えています。また飲み水は、水道水ではなく井戸水を与えているので、毎日新鮮な飲み水を飲めるようにしています。
基本情報
生産牧場名 | 鳶谷牧場 |
住所 | 兵庫県淡路市 |
電話番号 | 不明 |
五色ファーム
毎年10月に開催される共励会でもグランプリを7度も受賞するなど、これまで多くの優秀な淡路ビーフを生産してきた「五色ファーム」。長年の経験を積んだ飼育者が多数在籍し、一頭一頭愛情をかけて育て上げた淡路ビーフは、肉質も素晴らしく、どのブランド牛にも負けないと絶賛されています。
環境
五色町の山の上にあり、温暖差が激しい場所に牧場はあります。その中で毎日欠かさないのが牛との会話とブラッシング。牛をリラックスさせると同時に、話しかけることで牛の体調も分かると言います。
また牛舎は清潔に保ち、室温も一定に保つよう、扇風機を回し外気との空気の入れ替えも常に行っています。
飼料
高品質の淡路ビーフを作り上げるには水と食事が大事と位置づけ、飲み水には夏は冷たく冬は温かい井戸水を与えています。飼料は独自に配合したものを与えており、食事は成長に合わせて3段階に分け、ゆったりとしたスペースでストレスをなるべく与えています。
基本情報
生産牧場名 | 五色ファーム |
住所 | 〒656-1304 兵庫県洲本市五色町都志万歳888 |
電話番号 | 0799-33-0438 |
有限会社大造畜産
神戸ビーフの生産から販売まで一貫して行っている「大造畜産」。主に牝牛を肥育し、県外及び島内の高級飲食店でも使用されています。また淡路ビーフの他にも、淡路椚座牛を生産する牧場としても有名です。
環境
温暖な淡路島の瀬戸内海側に位置し、緑に囲まれた環境のなかで育てられています。牛舎を清潔に保つため、1日6回のエサ寄せと、掃除は欠かさず行い牛へのストレスを与えないようにしています。
飼料
飼料は地産地消で、淡路島産のお米と稲わらなどをブレンドした独自のものを与えています。また1日で1頭10㎏の食事を与え、栄養を全体に行き渡らせるようにしています。また飲み水もミネラル豊富な井戸水を与えています。
基本情報
生産牧場名 | 大造畜産 |
住所 | 〒656-1558 兵庫県淡路市草香北 |
電話番号 | 0799-70-1053 |
垣牧場
播磨灘を望む広大な敷地を持ち、緑豊かな高台に300頭もの和牛を飼育しているのが「垣牧場」です。一頭一頭愛情を注ぎ、良質な淡路ビーフを育てることで評価が高く、垣牧場の直売店も人気です。これまで多くの賞を獲得し、今後も期待される生産者です。
環境
淡路島は穏やかな気候で、牛の飼育には最適と言われています。また通常は、個別に区切られた牛舎で飼育されますが、垣牧場では運動場を設けて、牛舎と運動場を自由に行き来できるようにしています。自然な暮らしを牛にも体感させることで、ストレスの軽減に努めています。
飼料
淡路は水源が非常に豊富なため、飲み水はミネラルが豊富に含まれている山の谷水を使用しています。また餌は、自家産の稲わらと乾草を混ぜたもので無農薬にこだわり、市販されている飼料は一切使用しません。自家産の稲わらは香りもよく栄養素も多いため、牛の生育には絶対不可欠なものとなっています。
基本情報
生産牧場名 | 垣牧場 |
住所 | 〒656-0332 兵庫県南あわじ市湊1175 |
電話番号 | 0799-38-0228 |
淡路ビーフ新谷
繁殖から肥育、加工販売までを一貫して行っているのが「淡路ビーフ新谷」です。淡路ビーフの普及活動も行っており、JA淡路日の出農協と協力して長年にわたり、神戸ビーフの飼料開発にも力を注いでいます。自社牧場や自社工場も持ち、新鮮で安全な淡路ビーフの販売も行っています。
環境
広い牛舎には約300頭の神戸ビーフが飼育されています。一頭一頭しっかり面倒を見るために体調の把握は欠かせません。また牛にストレスをかけないようにするために、牛舎は清潔に保ち、定期的に外に出し太陽光を浴びさせることで、リラックスさせるようにしています。
飼料
新鮮な稲わらを中心に、試行錯誤を繰り返し神戸ビーフに最適な独自にブレンドした飼料を与えています。飲み水も近くを流れる清流からひいて、牛たちに与えています。
基本情報
生産牧場名 | 淡路ビーフ新谷 自社牧場 |
住所 | 〒656-2132 兵庫県淡路市志筑新島10−15 |
電話番号 | 0799-62-4567 |
西脇浩文牧場
淡路島最南端に位置する南あわじ市で、50頭の淡路ビーフの飼育をしている西脇牧場。兼業農家で、淡路ビーフだけではなく淡路のブランド玉ねぎや白菜等の野菜類や、乳牛60頭も飼育し「淡路島牛乳」を生産する酪農業も盛んに行っています。
環境
飼育している頭数が少ないため、毎日一頭ずつ体調管理を行うことができます。牛舎に入れっぱなしにせず、外に出しての運動も毎日の日課として行っています。また、牛舎の中は扇風機を回し、常に一定の室温に保つようにしています。
飼料
牛に与える飼料は敷地内で育てた自給飼料を与えており、新鮮な稲わらにえん麦やトウモロコシなどをブレンドした独自の飼料を与えています。
基本情報
生産牧場名 | 西脇浩文牧場 |
住所 | 〒656-0122 兵庫県南あわじ市広田広田1100 |
電話番号 | 不明 |
まとめ
淡路ビーフの生産者についてご紹介してきました。年間出荷数が250頭程度と、まだ希少価値の高いブランド牛ですが、淡路や洲本地方の生産者の努力により、その頭数は年々増え続けています。
淡路で最高品質を誇るブランド牛として一切の妥協なく、何年もの時間を費やし「淡路ビーフ」を作り上げてきた生産者の努力は並々ならぬものです。
これから数年先、淡路から誕生したブランド牛として、市場で目にする日も近いかもしれません。