長年に渡り、日本の和牛界を引っ張ってきた松阪牛。その裏側には、高品質の松阪牛を世に送り続ける生産者がいることを忘れてはいけません。
この記事では、そんな松阪牛の生産者にフォーカスし、そのこだわりや基本情報などをご紹介していきます。
松阪牛とは?
三重県松阪地方を中心に飼育されたブランド牛で、日本三大和牛の一つとしても有名です。松阪肉牛協会が定める4つの審査基準をクリアしたもののみが松阪牛のブランドを手にすることができ、きめ細かい脂肪と柔らかな肉質が特徴です。
松阪牛の多くは但馬牛の仔牛を、松阪の飼育農家が3年以上手塩にかけて育てたもので、そのルーツは但馬牛になります。
世界でも知られる「松阪牛」は、日本が誇るブランド牛として各地で絶賛を受けています。
松阪牛の肉質
きめの細かい霜降りと柔らかな肉質で、深みのある甘く上品な香りが漂います。また、脂肪が良質でオレイン酸を多く含んでおり、脂肪の溶け出す融点が低く、舌触りが良く滑らかな口当たりです。
松阪牛の味
最大の特徴は霜降りの美しさです。 肉質はとても柔らかで、脂に上品な甘みと香りがあり、その味は海外でも人気を集めています。 ステーキや焼き肉にすると、脂の香りがよりいっそう引き立ちます。
松阪牛の生産者をご紹介
松阪牛に情熱を注ぎ、その生産に尽力する方々をご紹介します。数々の賞を獲得させた生産方法にはどんなこだわりがあるのでしょうか。
竹内牧場
三重県中部に位置し、温暖な気候の中で優秀な松阪牛を育てている「竹内牧場」です。約400頭の松阪牛を飼育し、広大な土地を利用し生産飼育を行っています。また直営店「若竹」ではリーズナブルな料金で松阪牛を購入できると評判です。
環境
緑に囲まれた環境の中、牛舎には太陽の光が差し込む設計にし牛をリラックスさせ、天井に扇風機を設置し一定の室温に保っています。また暑い日にはミストを散布させ、室温をさげるようにしています。
さらに広々とした子供部屋を設置し、その中でしっかり運動をさせることで丈夫な身体を作らせています。
飼料
長年培った経験から、独自の配合飼料(とうもろこしや稲わらなど)をメインに与えており、乳酸菌や米ぬか、栄養補助思慮などを餌に混ぜ、一頭一頭の体調面もカバーしています。また牛の成長ステージに合わせ、与える飼料も変え、牛の肉質をより良いものにしていきます。
牛の飲み水は水道水ではなく、近くを流れるミネラル豊富な清流櫛田川の伏流水を利用しています。水を飲むウォーターカップは朝と夕方に必ずチェックし、いつでもキレイで新鮮な水が飲めるようにしており、仔牛には冬の寒い時期は温めた水を与えるようにしています。
基本情報
生産牧場名 | 竹内牧場 |
住所 | 〒519-2153 三重県多気郡多気町河田263 |
電話番号 | 0598-38-2228 |
堀坂牧場
伊勢平野の緑豊かな田園地帯に囲まれた「堀坂牧場」。松阪牛の生産牧場では最大規模の1,500頭以上を飼育しています。これまで多くのチャンピオン牛を輩出する名門と言われる生産牧場です。
徹底した衛生管理とデータ分析で、高品質の松阪牛を輩出することに情熱を注いでおり、その肉質の素晴らしさは各方面で好評を得ています。
環境
堀坂牧場では2頭ずつ飼育・管理を行っています。そのため牛舎もゆったりとしており、牛にもストレスがかかりません。また牧場内は常に新鮮に保ち、おがくずで作った寝床はふかふかしており、牛舎は木の香りが漂っています。またクラシックを聞かせることで牛をリラックスさせる環境を保っています。
飼料
40年の研究と実績から選び抜いたエサを飼料会社に指定配合した「堀坂配合」という餌を開発し与えています。また牛肉本来の風味を出すために、糖蜜と納豆菌を与えることでストレスを軽減させています。
牛の飲み水も、近隣の榊原温泉郷から引いてきた水を、自家製のアルカリイオン水に浄化し、内部からストレスの軽減をさせています。
基本情報
生産牧場名 | 堀坂牧場 |
住所 | 〒515-3132 三重県津市白山町北家城1073 |
電話番号 | 059-262-5191 |
伊藤牧場
昭和30年に創業以来、60年にわたり松阪牛の生産を行ってきた「伊藤牧場」。これまで優秀な松阪牛を輩出し続け、獲得してきた賞も2桁にのぼります。厳重な管理のもと、現在は約500頭の松阪牛を飼育しています。
環境
睡眠時間が短い牛のため、通常であれば2〜3頭ずつに区切ったスペースで飼育しますが「伊藤牧場」では広いスペースに1頭ずつ個別に飼育し、のびのびとストレスを感じる事のない環境を作っています。
また牛舎内を最適な温度に保つため、天井や壁に扇風機を埋め込み稼働させています。さらに暑い日には、ミストシャワーで温度を下げて牛が過ごしやすい環境を保つ設備を整えています。
飼料
美味しい松阪牛を飼育するために試行錯誤した餌を与えています。ふすま、大豆、とうもろこし、麦の4種類を、オリジナルの比率で配合しており、この餌で育てる事で、色鮮やかな甘い肉質に育てる事ができます。
また飲み水も、地元の天然水を与えており、肉質を作るのに必要な栄養素を飲み水からも摂取させています。
基本情報
生産牧場名 | 伊藤牧場 |
住所 | 〒515-2504 三重県津市一志町高野1168 |
電話番号 | 059-271-5870 |
三重加藤牧場
「安心、安全、まごころ」をモットーに、多くの優秀な松阪牛を飼育してきた「三重加藤牧場」です。現在は約1,200頭の松阪牛を飼育する県内でも最大規模の生産牧場です。もともと養豚を行っていましたが、昭和59年に54頭の但馬牛を導入したのをきっかけに、平成2年に和牛一貫生産を始めました。ベテランと呼ばれる生産者が多い中で、若い生産者がその力を存分に発揮している、今後も期待の生産牧場です。
環境
緑に囲まれた牧場は、騒音もなく牛もストレスなく過ごす環境が整っています。また1マスに一頭の牛を入れることで、他の牛との軋轢や小競り合いが起きないため、牛ものんびりと過ごすことができます。
飼料
幼い牛には、稲わらや麦わらを中心とした粗飼料を与え、成牛になってからは、オカラや濃厚飼料などを混ぜた、牧場独自の餌を与えています。臭気対策に効果がある天然原料を主体とした飼料添加物を用いているのが特徴です。
基本情報
生産牧場名 | 三重加藤牧場 |
住所 | 〒512-1201 三重県四日市市上海老町1972 |
電話番号 | 059-326-3030 |
一本松牧場
広大な敷地内で数百頭の松阪牛を飼育しており、一頭一頭大切に育てられています。メディアでも紹介され、一流シェフからも評価される高品質の肉質を持つ松阪牛は、これまで多くの賞を受賞しており、名門と言われる生産牧場です。
環境
牛にストレスを与えないように、牛の部屋は清潔に保たれており、常に新鮮なおがくずを敷いています。そのため嫌な臭いは一切ありません。また、危険なため牛の角を切り落としてしまう生産者も多いですが、それもストレスになると言われており、一本松牧場ではそのままの状態で飼育しています。
飼料
稲わらやふすま、大豆粕などをブレンドし独自の飼料を与えています。また飲み水も新鮮な湧水を与え、飲み水からも栄養を与えています。
基本情報
生産牧場名 | 一本松畜産組合 |
住所 | 〒514-0126 三重県津市大里 睦合町2462−2 |
電話番号 | 059-230-0358 |
長太屋松阪牧場
飼育から解体まで一貫生産体制を行っている「長太屋松阪牧場」。徹底した管理体制のもと、安心安全で美味しい松阪牛を飼育しています。直営店ではリーズナブルな料金で松阪牛を販売しています。
環境
牛舎は清潔に保たれ牛のストレスを軽減させ、温度を一定に保つために、冬は籾の量を多めにし夏はおがくずの量を調整しあまり温度が上がらないようにしています。牛の声しか聞こえない牛舎内は騒音もなく、静かにゆったりくつろげる空間を提供しています。
飼料
牛の健康状態を見ながら餌の量や質を変えるこだわりを持ち、スーザンやチモシーなど独自に考案した飼料を、タイミングを見て変更しながら与えていきます。
基本情報
生産牧場名 | 長太屋松阪牧場 |
住所 | 〒515-2344 三重県松阪市美濃田町1202 |
電話番号 | 0598-58-1280 |
和田金牧場
広大な牧場で約1,000頭の松阪牛を飼育しています。松阪牛の生産牧場としては名門と言われる牧場で、食欲回復法のひとつとしてビールを飲ませたのは和田金牧場の三代目が最初と言われています。
環境
外部から雑菌を持ち込まぬよう、しっかり管理された清潔な牧場で、牛にストレスを与えぬよう牛に配慮した環境を整えています。また、外部からの立ち入りを制限し、人も車も消毒施設で除菌しなければ入場できないよう、厳格に管理しています。
また定期的に牛のマッサージをしてあげる事で、ストレスを軽減する作業も行っています。
飼料
長年の経験の中で培った独自の飼料に地元農家から提供される稲藁を合わせ、細心の注意を払いながら牛に与えています。
また飲み水も新鮮な湧水を引き、いつでも新鮮な飲み水を供給できるシステムを完成させています。
基本情報
生産牧場名 | 和田金牧場 |
住所 | 〒515-2334 三重県松阪市嬉野黒野町1098 |
電話番号 | 0598-42-2525 |
谷岡畜産
高品質な松阪牛を生産することで評判なのが、松阪市にある「谷岡畜産」です。この牧場で生産された松阪牛は、高級レストランでも使用される機会が多く、赤身と霜降りのバランスが絶妙と言われています。
環境
広い牛舎には、牛の部屋に引き詰められたおがくずの香りが漂い、牛をリラックスさせる効果を与えています。また空気を常に循環させることで、牛舎が一定の温度に保たれ、牛は過ごしやすい環境で生活することができます。
飼料
県内産の稲わらや大豆かす、トウモロコシなどを独自に配合した飼料を与えており、牛の体調や環境の変化によって、飼料の量を微調整しています。
基本情報
生産牧場名 | 谷岡畜産 |
住所 | 〒515-1301 三重県松阪市飯南町深野 |
電話番号 | 080-3459-0986 |
中尾畜産
三重県内で最大の飼育頭数を誇るのが「中尾畜産」です。飼育頭数が1,000頭を越す農家も少ない中、なんと3,000頭もの松阪牛を飼育しています。8.5ヘクタールの広大な敷地を持ち、優秀な松阪牛を多く輩出しています。
環境
多くの牛を飼育しているため、ストレスを発散するための環境を整えています。太陽の光を浴びれるように牛舎横に放牧地を設け、牛舎には数メートル間隔で扇風機を設置。常に稼働させることで温度を一定に保っています。
飼料
数種類の牧草とトウモロコシや大麦などの穀類、そして豆乳の粕や大豆の粕などを、独自に配合したものを、牛の成長に合わせて食べさせていきます。
基本情報
生産牧場名 | 中尾畜産 |
住所 | 〒515-0317 三重県多気郡明和町池村2113 |
電話番号 | 059-372-0721 |
前川農場
牛の生産を始めて60年以上の歴史を持つ「前川牧場」。多くの賞を受賞し、共励会でもグランプリ牛を輩出している生産牧場です。現在は400頭以上の松阪牛を飼育しています。
環境
前川農場は4つの牧場を持ち、牛の成長に合わせて牧場を変えていきます。同じ年代の牛同士で生活するため、ストレスをかけることなく成長させることができます。
飼料
昔ながらの稲わらやふすま等を使用したオリジナル飼料を与えています。飲み水も、近くを流れる清流を汲み上げ、新鮮な水を与えています。
基本情報
生産牧場名 | 前川農場 |
住所 | 〒515-2504 三重県津市一志町高野1397 |
電話番号 | 059-293-1680 |
松本畜産
約100年にわたって、昔ながらの飼育方法を引き継ぎながら、本物の松阪牛を育てているのが「松本畜産」。優秀な松阪牛を育てるのはもちろんですが、直売店や多くのレストランでも大好評の高品質な神戸牛を販売しています。
環境
温暖な気候と恵まれた自然に囲まれた、最高の環境で松阪牛の飼育を行っています。生育段階で4頭、2頭、1頭と1マスに入れる牛の数を変えていき、極力ストレスのかからない生育方法を行っています。
飼料
牛の主食となる稲わらは、地元の農家で収穫されたものを与えており、稲わらには、トウモロコシや麦などを配合し、成長に合わせて大豆かすやエゴマのかすなど、オイル系のものを混ぜています。また牛の胃のなかを調整するために、醤油を絞ったかすを加えたるなど、全てにおいてオリジナルの飼料を与えています。
基本情報
生産牧場名 | 松本畜産 |
住所 | 〒519-2175 三重県多気郡多気町前村1808 |
電話番号 | 0598-39-3368 |
カドワキ牧場
数々の賞を受賞する優秀な松阪牛を輩出している「カドワキ牧場」です。種付けから飼育、出荷までの一貫生産を行っており、生後10ヵ月を北海道で過ごしたのち、三重の牧場に搬入し出荷するまでの24ヵ月を飼育するという、他の牧場とは少し違った方法で松阪牛の飼育を行っています。
環境
鈴鹿山麓からの風と緑溢れる山々に囲まれた環境で、牛をのびのび過ごさせることでストレスなく育て上げていきます。農場HACCPで定めた基準のもと、農場内に入場する際の消毒を行うなど、ばい菌を牧場内に入れないよう徹底した管理を行っています。
飼料
主食となる稲わらに、トウモロコシや大豆などの穀類を混ぜたオリジナル飼料を与えています。また飲み水は、鈴鹿山麓から流れ出る伏流水を使用し、いつでも新鮮な水を飲める環境を作っています。
基本情報
生産牧場名 | カドワキ牧場 |
住所 | 〒519-2731 三重県度会郡大紀町野原1096−1 |
電話番号 | 0598-85-1129 |
玉城牧場
松阪牛の生産から加工、販売から直営レストランまで一貫して行っているのが「玉城牧場」です。玉城の大自然とのどかな田園地帯にある牧場で、のびのびと育った松阪牛はこれまで、数々の賞を受賞しています。
環境
牛はきれい好きなため、牛舎を清潔に保つ事でストレスを感じない環境づくりを行っています。特に寝床をきれいに保つことで快適な睡眠をとらせるようにしています。また、牛の飲み水がこぼれて寝床や牧場内が汚れないように、ウォーターカップの下には専用の排水桝などを設置し、清潔に保っています。
飼料
市販の飼料は使用せず、長年培った経験をもとにオリジナルに配合した独自の餌を使用しています。また、餌の量は牛の体重や体調、成長歩合によっても変わってくるため、機械などは使用せず、その牛に合った餌と量を一頭一頭、手作業で餌を与えています。
また飲み水も、三重県最大の河川で日本一きれいな川とも言われる「宮川」の伏流水を使用し、いつでも新鮮で美味しい水を飲むことができます。
基本情報
生産牧場名 | 玉城牧場 |
住所 | 〒519-0438 三重県度会郡玉城町原2803 |
電話番号 | 0596-65-6710 |
松阪牛の里オーシャンファーム
生産から販売までを一貫し、行き届いた管理で優秀な松阪牛を飼育しています。三重で第一号となる「農場HACCP認証農場」を取得したことでも知られており、年間の生産頭数は2000頭を超える大規模牧場です。
環境
多気の大自然の中に牧場があるため、騒音は一切なく牛の声しか聞こえないため、余計なストレスが一切かからない環境です。また牛舎は清潔に保たれており、嫌な臭いは一切しないのが特徴です。
飼料
大麦やトウモロコシ、ふすまといった原料のほかに、大豆皮やきな粉を混ぜた独自の飼料を与えています。また牛の成長過程に合わせ配分を変える工夫もなされています。
基本情報
生産牧場名 | 松阪牛の里オーシャンファーム |
住所 | 三重県多気郡多気町 |
電話番号 | 不明 |
丸中牧場
肉質や霜降りも最高級の松阪牛を作り出すと評判なのが「丸中牧場」です。直営店ではリーズナブルな料金で松阪牛を提供しています。
環境
白猪山に囲まれた、自然豊かな環境でのびのびと育てられています。牛舎は1マスに一頭ずつ与えられ、ストレスなく過ごすことができます。また広い敷地を利用し、運動不足にならないよう、適度に運動をさせるのも特徴です。
飼料
地元で生産された餌わら、麦、ふすま、とうもろこし等を独自に配合したものを餌にし、飲み水は、近くを流れる清流として名高い「櫛田川」上流の綺麗な水を牛舎まで引いて牛にあげています。
基本情報
生産牧場名 | 丸中牧場 |
住所 | 三重県松阪市飯南町 |
電話番号 | 不明 |
松阪牧場
常時800頭以上を飼育している「松阪牧場」は、これまでも数々の優秀な松阪牛を輩出しています。肉質の素晴らしさに定評がある生産牧場です。
環境
味を損ねると言われる牛へのストレスをかけないよう、一頭一頭分けて飼育をし、牛の部屋はいつでも清潔に保っています。また、物音にも敏感なため、牛のそばでは物音を立てないよう配慮し、リラックスした空間で飼育をしています。
飼料
一般販売している飼料は使用せず、稲わらやトウモロコシなどをブレンドした独自の飼料を与えています。
基本情報
生産牧場名 | 松阪牧場 |
住所 | 〒515-2344 三重県松阪市美濃田町1202 |
電話番号 | 0598-58-1280 |
まとめ
松阪牛の生産者をご紹介してきました。日本有数のブランド牛を守り続ける生産者の努力やこだわりは、常に高品質な松阪牛を作り上げています。
松阪牛への情熱と信念があるからこそ、日本で最高峰と言われる松阪牛の品質は、守られ続けていくのです。
これから100年先も、日本のブランド牛として君臨していくのではないでしょうか。