兵庫県は、神戸牛や但馬牛といったブランド牛が有名ですが、三田地方で飼育される三田牛も高品質な和牛だと大変評判です。
この記事では、そんな三田牛の生産者に焦点をあて、そのこだわりや基本情報などをご紹介していきます。
三田牛とは?
但馬牛として生まれた子牛を、兵庫県三田市周辺で育てた和牛を三田牛と言います。ブランド牛としての指定もされており、三田肉流通推進協議会が2007年に定めた4つの基準をクリアしたもののみが三田牛のブランドを手にできます。
その希少価値は高く、全国に出荷される頭数は年間200頭〜300頭と非常に少なく、その肉質も但馬牛や神戸牛に引けを取らないと言われています。
三田牛の肉質
細かくて柔らかく、美しい細かな霜降りが特徴です。 脂肪の質も極上で融点が低いので指でさわっただけでとけるくらい繊維の細やかさで、赤身と脂の混じり具合の入り方、舌ざわりも味も、他の地域のブランド牛とは全然違います。食通をうならせる上質な味と高い評価を得ています。
三田牛の味
肥育が特徴的でありながらも肉質は濃密で繊細な旨味を表現し、柔らかさも兼ね備えています。日中の寒暖差が厳しい気候のため、肥育しても肉質が締まりやすくなります。食通からの評価が高いのはもちろん、御成門の三田牛専門店がミシュランガイド東京2008でも紹介されたことがあります。
三田牛の生産者をご紹介
三田牛に情熱を注ぐ、生産者をご紹介していきます。それぞれの牧場のこだわりとはどのようなものなのでしょうか。
勢戸牧場
三田地域の自然に囲まれた、のどかな中にあるのが「瀬戸牧場」です。現在は約400頭の三田牛を飼育しており、三田牛生産牧場では最大規模となっています。
多くのレストランで提供されたり、三田牛の品評会でも、上位を独占するなど多くの賞を受賞している三田牛生産者の名門と言われています。
環境
採光式の牛舎のため、内部は非常に明るく、室内は乾燥して清潔に保たれます。夏は牛舎の温度が上がりますが、風通しの良い造りにしているため、暑さが室内に残りにくくなっています。
またストレスをためないように、牛の体の隅々まで、ブラッシングして血行を良くし、リラックスさせています。
飼料
地元の農家から提供された稲わらに、独自にブレンドされた飼料を与えています。また飲み水は近くを流れる、ミネラル豊富な武庫川水系の伏流水を与えており、飲み水からも栄養素を与えています。
基本情報
生産牧場名 | 勢戸牧場 |
住所 | 〒669-1345 兵庫県三田市下相野3006-3 |
電話番号 | 079-568-0298 |
山上牧場
質の良い和牛を作ることで有名で、神戸の老舗肉屋も唸るほどの高品質の三田牛を肥育されている「山上牧場」。長年培った経験を生かした飼育方法で、多くの優秀な和牛を育てています。
環境
広い牧場内で運動させることで、足腰を鍛えさせ、健康な身体を作り上げます。また牛舎は扇風機を設置し、室温がいつでも一定になるような環境を整えています。
飼料
仔牛のうちは、良質な野草を十分に食べさせ、成牛になった段階で稲わらやふすまなどを混ぜたオリジナル資料を与えています。
基本情報
生産牧場名 | 山上牧場 |
住所 | 〒678-1186 兵庫県赤穂市西有年3015-51 |
電話番号 | 0791-49-3503 |
春日牧場
生産牧場として長い歴史をもつ「春日牧場」。家族3人で一頭一頭愛情を込めて育てています。その肉質は但馬牛にも引けを取らないと評判で、わざわざ春日牧場に足を運び、一頭買いする業者もいるほどです。
環境
牛舎には扇風機を付け温度調節をし、寝床となるマスの中も清潔に保ち、牛にストレスをかけないようにしています。また手が空いたときは、背中のブラシをしてストレスの軽減に努めています。
飼料
牛の成長過程に合わせて質と量を変えていきます。また、他の生産牧場では満腹状態にする事が多いですが、春日牧場では腹8分目の状態にし、脂肪分を余りつけさせないように「するのが特徴です。
基本情報
生産牧場名 | 春日牧場 |
住所 | 〒669-4134 兵庫県丹波市春日町古河481 |
電話番号 | 0795-74-1008 |
吉本牧場
長年にわたり三田牛の飼育を行ってきた「吉本牧場」は、まだ兵庫県内で三田牛の生産が盛んでなかった頃から生産牧場を営んできた第一人者です。
環境
緑に包まれた牛舎では、牛にストレスをかけないように清潔に保つように心がけ、一頭一頭目が届くよう、1マスに一頭入れるようにしています。また常に音楽をかけ、牛がリラックス出来る環境を整えています。
飼料
通常は8〜9ヵ月程度で粗飼料から通業の飼料に変更しますが、餌の喰いつきが悪い場合は、慣れるまで無理に変えることはしないのが特徴です。飲み水は井戸水を使用し、いつでも新鮮な水を与えるようにしています。
基本情報
生産牧場名 | 吉本牧場 |
住所 | 〒669-1355 兵庫県三田市長坂736 |
電話番号 | 不明 |
丸優第一畜産センター
多くの優秀な三田牛を輩出している「丸優第一畜産センター」は、直営店でリーズナブルな料金で三田牛を販売しています。また食肉店でも多く取り扱われ、その品質には定評のある生産牧場です。
環境
牛は暑さに弱い動物なので、夏場は特に気をつけで、扇風機で風を送って温度調節を行っています。また、いつもきれいな空気を吸えるように春夏秋冬に合わせて風の流れを考えながら換気を行っています。
飼料
独自にブレンドした飼料を与え、飲料水には、肉牛肥育に適したミネラルを多く含んだ武庫川水系の伏流水を与えています。
基本情報
生産牧場名 | 丸優第一畜産センター |
住所 | 〒669-1535 兵庫県三田市南が丘2丁目15−35 |
電話番号 | 078-986-2866 |
西牧場
自然に囲まれた牧場で、優秀な三田牛を飼育しているのが「西牧場」です。高品質な肉牛を飼育すると評判で、多くの肉屋が西牧場の三田牛を買い求めに来ます。
環境
自然に囲まれた中、のんびりとストレスなく育てられています。また牛舎は清潔に保たれており、牛のお部屋は常に新しい藁を敷いています。また牛舎の空気も、常に入れ替え新鮮な空気を入れています。
飼料
試行錯誤を繰り返し、最も適した配合の独自に開発した飼料を与えています。また飲み水は井戸水からくみ上げ、新鮮な水を与えています。
基本情報
生産牧場名 | 西牧場 |
住所 | 〒669-1345 兵庫県三田市下相野306-3 |
電話番号 | 079-568-0298 |
溝畑牧場
緑豊かな自然の中で三田牛の飼育に尽力している「溝端牧場」は、優秀な三田牛を多く輩出する名門牧場です。また三田牛の普及にも尽力しており、多くの方に三田牛を知ってもらおうと様々な取り組みを行っています。
環境
365日牛舎に備え付けられた扇風機を回し、牛の過ごしやすい室温になるよう温度管理をしています。夏の暑い時期には、屋根に水をかけていくらか温度が下がるように務めています。また飲み水を入れる水桶は常にきれいにし、特に夏はこまめに洗うようにしています。
またストレスを軽減させるため、1週間に2〜3回ブラシかけをして、牛と一緒に一時の時間を共に過ごしています。堆肥を常にしめらさないように外に出しています。
飼料
稲わらを中心に、トウモロコシや大豆のかすなどを混ぜた独自に配合した飼料を与えています。飲み水も近くを流れる、ミネラル豊富な武庫川の伏流水を与えています。
基本情報
生産牧場名 | 溝畑牧場 |
住所 | 兵庫県三田市 |
電話番号 | 不明 |
農事組合法人西神戸但馬牛神戸牛一貫生産組合 森谷牧場
仔牛の生産から肥育まで行う生産一貫体制をしており、優秀な三田牛を輩出し続けるのが「森谷牧場」です。広大な牧場を持ち、大自然の中で飼育された三田牛は品質も良く、美味しいと評判の生産牧場です。
環境
仔牛の生産牧場と成牛になってからの牧場の2つを持ち、同年代の牛同士で過ごさせることで、余計なストレスをかけないようにしています。牛舎は清潔に保ち、牛のストレスを軽減させるため、牛の近くで声を上げないようにするなどのこだわりがあります。
飼料
企業秘密ですが、独自で開発した飼料を牛の成長に合わせて与え、体調に合わせてその分量や配合を変えています。また飲み水も、近くを流れるミネラル豊富な武庫川の上流から牧場にひいているので、いつでも新鮮な飲み水を与えることができます。
基本情報
生産牧場名 | 農事組合法人西神戸但馬牛神戸牛一貫生産組合 森谷牧場 |
住所 | 〒651-2231 兵庫県神戸市西区櫨谷町寺谷1242−60 |
電話番号 | 078-991-0171 |
神戸畜産㈱ 三田牧場
最古参の三田牛の生産牧場として知られているのが「三田牧場」です。広い敷地内には約200頭の三田牛を飼育しており、優秀な三田牛を育てることで定評があります。
環境
新しく建て直した牛舎は、清潔そのもの。木の香りが漂い、牛もリラックス出来る環境が整っています。また1マスに一頭の牛を入れ、他の牛と喧嘩などしないように配慮しています。さらに、太陽光を浴びれるような造りになっているので、ストレス軽減にも余念がありません。
飼料
稲わらにとうもろこしや米かす、大豆かすなどを混ぜたオリジナルの飼料を与えています。また飲み水は、常に新鮮に保てるよう、近くを流れる清流「武庫川」の上流から牧場にひいて牛に与えています。
基本情報
生産牧場名 | 三田牧場 |
住所 | 〒651-1516 兵庫県神戸市北区赤松台1丁目1-72 |
電話番号 | 078-983-3388 |
まとめ
三田牛の生産者をご紹介してきました。他のブランド牛と比較すると、まだ歴史が浅く、生産者も少ないのが現状です。しかし良質な牛を作り上げるという情熱は他の生産者と変わりません。
神戸牛や但馬牛にも匹敵すると言われる肉質を持つ三田牛。年間200頭前後の出荷数と言われ希少価値の高いブランド牛ですが、今後更に生産者が増え、その名を全国に轟かせてほしいものです。